住宅購入の贈与税と非課税枠

住宅購入の贈与税と非課税枠1

2020年9月7日

マイホーム購入にあたって、親や親類が資金を援助してくれるというお話もよく耳にします。

このような場合、基本的には『贈与税』が課税されますが、実は住宅資金の目的となれば“非課税枠”というものが設けられているのです。

住宅ローンのように金利も気にしなくても良い援助金が使用できるのなら、こんなに有難いことはないですね!

では早速、非課税枠や要件などについて詳しく見ていきましょう。

贈与税って?

贈与税については『資金計画を考えよう! 諸費用も忘れずに』のページでも触れていますが、もう一度おさらいしましょう。

贈与税とは個人から財産を受け取ったときにかかる税金のことです。

贈与税がかかる例としてはご自身が被保険者で、保険料を誰かに払ってもらっていたが、生命保険料を受け取ったなどのケースや、誰かに借金をしていたが返済を免除してもらったケースなどは贈与税の課税対象になります。

 

では贈与税の税率はどうなのでしょうか?

贈与税には2種類の課税方式がありますので見てみましょう。

暦年課税

1年間(1月1日~12月31日)の間にもらった贈与額から「基礎控除額110万円」を差し引いた金額に対して課税されます。

110万円以下の場合は課税対象外で申告不要です。

 

 

相続時精算課税

こちらは贈与税の“期限内申告書”を提出する場合のみ適用される控除になりますが、60歳以上の父母や祖父母からの贈与で、相続までにに受けた贈与について、相続時に相続税と併せて贈与税が課税される仕組みです。

相続時まで贈与税を先送りするイメージです。

 

累計の贈与額が2500万円まで贈与税が免除され、『住宅取得等資金の非課税特例』が併用できますが、『暦年課税の基礎控除額110万円』は併用できません。

『住宅取得等資金の非課税特例』を併用すると、最大4,000万円まで非課税で贈与が行えることになります。

『住宅取得等資金の非課税特例』については後程詳しく解説していきます。

一度「相続時精算課税」を選択すると、途中で「暦年課税」に戻すことはできませんので注意しましょう。

 

2021年12月31日まで贈与者の年齢が60歳未満でも「相続時精算課税」を適用できる特例があります。住宅取得等資金贈与の非課税特例の要件と似ていますが、一部異なります。

以下に主な要件をあげてみます。

 

 

住宅購入の贈与税と非課税枠2

相続時精算課税選択の特例の要件

  • ● 親や祖父母などの直系尊属からの贈与で、贈与を受ける人は贈与を受けた年の1月1日時点で成人(20歳以上)であること

  • ● 贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与された資金の全額を充てて住宅取得をし、遅延なく居住すること

  • ● 新築または取得した住宅の床面積が50㎡以上であること

  • ● 中古住宅の場合1:取得日時点で築年数が20年以内(鉄筋コンクリート造など耐火建築物の場合は25年以内)であること ※1

  • ● 中古住宅の場合2:建築士等によって一定の耐震基準を満たすことが証明された住宅であること ※1

  • ● 中古住宅の場合3:取得後に耐震改修工事を行い、贈与を受けた年の翌年3月15日までに建築士等によって一定の耐震基準を満たすことが証明された住宅であること ※1

※1…中古住宅の場合1~3のいづれかを満たすこと。

 

一度選択すると、変更できない「相続時精算課税」ですが、

「相続時精算課税」を選択した方が良いと思われる事例としては、相続税がかからない場合です。

「相続税の基礎控除」というものがありますが、こちらは

 

3,000万円 +( 600万円 × 法定相続人の数 )

 

で算出できます。

 

例えば相続人が配偶者と子供3人だとすると

3,000万円 + ( 600万 × 4 ) =5,400万円

このケースですと、贈与額を含め資産の合計額が5,400万円以内に収まれば「相続時精算課税」を選んでも大丈夫でしょう。

 

住宅取得等資金贈与の非課税特例

2019年10月の消費税増税(10%)の際に拡充された制度で、親や祖父母などの直系尊属から住宅の購入、新築、リフォームなどの“住宅取得資金の援助”があった場合、最大1,500万円の贈与まで贈与税が課税免除になる制度です。

基礎控除110万円との併用も可能で、1,610万円まで贈与税がかからないことになります。

 

「一般住宅」と「一定の条件を満たす住宅の購入(断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物、高齢者等配慮対策等級3以上のいづれかを満たす住宅)」のどちらを取得するかによって非課税枠が異なります。

 

また、契約時期によって非課税限度額が変わり、特例開始時は最大3,000万円まででしたが段階的に非課税額が狭まる仕組みなっており、現在は最大1,500万円です。

 

非課税枠は下記の表を参照してください。

契約時期別 住宅資金贈与の非課税枠

契約時期 非課税枠
2020年4月1日~ 2021年3月31日 1000万円(一般住宅) /1500万円(一定基準を満たす住宅)
2021年4月1日~ 2021年12月31日 700万円(一般住宅) /1200万円(一定基準を満たす住宅)

※新築住宅の購入、新築、増改築、不動産会社が売り主の中古住宅の購入の場合

 

 

住宅取得等資金贈与の非課税を受けるには?

住宅取得資金贈与の非課税を適用するにはいくつかの要件があります。

主なものを下記にあげてみますのでチェックしてみてください。

  • ● 親や祖父母などの直系尊属からの贈与で、贈与を受ける人は贈与を受けた年の1月1日時点で成人(20歳以上)であること

  • ● 贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与された資金の全額を充てて住宅取得をし、遅延なく居住すること

  • ● 新築または取得した住宅の床面積が50㎡以上240㎡以下であること

  • ● 贈与を受けた年の合計年収額が2,000万円以下であること

  • ● 中古住宅の場合1:取得日時点で築年数が20年以内(鉄筋コンクリート造など耐火建築物の場合は25年以内)であること ※1

     

  • ● 中古住宅の場合2:建築士等によって一定の耐震基準を満たすことが証明された住宅であること ※1

  • ● 中古住宅の場合3:取得後に耐震改修工事を行い、贈与を受けた年の翌年3月15日までに建築士等によって一定の耐震基準を満たすことが証明された住宅であること ※1

※1…中古住宅の場合1~3のいづれかを満たすこと。

 

参照:国税庁ホームページ

No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
 

各手続きの申請

特例や課税方法の選択、控除を受けるには税務署への申告が必要になりますのでチェックしていきましょう。

 

■住宅取得等資金贈与の非課税の手続き

・手続き場所…税務署

・申告期限…贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日

・注意事項…贈与を受けるタイミングは住宅の引き渡し時。(契約時に贈与を受けると、申告期限に引渡しが間に合わなかった場合、非課税が対象外になってしまう)

 

添付書類等の詳細は国税庁のホームページをご参照下さい。

No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

 

■相続時精算課税の手続き

・手続き場所…税務署(相続時精算課税選択届出書を提出)

・申告期限…贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日

 

添付書類等の詳細は国税庁のホームページをご参照下さい。

No.4304 相続時精算課税を選択する贈与税の申告書に添付する書類

 

暦年課税における基礎控除110万円の手続き

 

1年間に110万円以下の贈与の場合には申告ふようですが、110万円を超えた場合は「贈与税申告手続き」が必要になります。

ただし、1年間に基礎控除110万円を超える額の財産を受け取った場合には、110万円を超えた分に対して贈与税がかかるため、贈与税申告手続きが必要となります。

 

・手続き場所…税務署(贈与税申告書を提出)

・申告期限…贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日

 

添付書類等の詳細は国税庁のホームページをご参照下さい。

贈与税の申告

住宅購入の贈与税と非課税枠3

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